51話 - ブラックリーチ(2) - スポンサー広告Skyrim RP日記  

空と雪と葡萄色

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51話 - ブラックリーチ(2)

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大きく機械の音を響かせて、重い足取りで攻撃対象である私達に向かってきた。
地上では見たこともないその異様な姿が威圧感を与える。
「Yol!」
恐怖心を払拭するようにファイアブレスを放つ。しかしそれはよろめくどころか大したダメージも受けていないようだ。
「一体だけか!?」
前に出たロードが叫ぶ。
「運が良かったな! もう一体は動かないようだ。ロード、お前は攻撃に専念しろ。私がこいつの注意を引きつける!」
ルーシスは直接攻撃をロードに任せ、センチュリオンの狙いを自分に向けさせながら、雷撃の魔法で攻撃する。
「頼む、攻撃範囲に入らないようにする! 幸い動きは遅いようだ、まず片足を破壊して体勢を崩す。援護してくれ!」
センチュリオンの弱そうな膝の関節部分を、両手剣で力任せに叩きつけた。金属音が響く。
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敵が武器を大きく振り回すと、次の攻撃体勢に入るまでの少しの時間だけ隙が出来る。
ロードはそこを狙い、センチュリオンの右足関節に何度も打撃を繰り返した。関節部を繋ぐ歯車が歪み、動きが鈍くなる。
「剣が折れるか、こいつの膝を折るか。どっちが早いか賭けるかっ?」
ロードの口調に余裕の色が見えてきた。
「足を折っただけで終わりではないぞ、これの動きを完全に止めるには弱点を見つけなければならない。それまで剣を折らないようにしろ」
雷撃を膝に狙い撃ちしながらルーシスが言う。
武器を下ろしたセンチュリオンが何もせず真っ直ぐに立った。その様子に嫌な予感がする。
「あぶないっ! ロード、下がって!」
20161127_0006.jpg
私の声で、ロードは咄嗟に三歩ほど大きく後ずさりした。次の瞬間、センチュリオンは前方に激しく蒸気を吹き出す。
熱い蒸気の風がここまで届く。間近で浴びていたら火傷では済まなかっただろう。
すかさず回復魔法をかける。
「ロード、動きを止めたときが蒸気攻撃の前兆です。気をつけて!」
「分かった、だがもう少しだ!」
勢いをつけて剣を叩きつけると、センチュリオンの体がかすかに揺れた。
手ごたえを感じ取ったロードがセンチュリオンの膝を思い切り蹴りつけると、関節部分の脆くなったパーツが破損した。
敵は体勢を崩し倒れこむように膝をつく。
「膝関節のパーツは外れた。あとは動きを止める! ルーシス、弱点は分かったか!?」
「ああ、胸元に丸いコアのようなものがある。それが心臓と同じ役目を果たしているに違いない。破壊しろ!」
「簡単に言ってくれるっ」
だが体勢を崩し立ち上がることの出来なくなった敵のコアを狙い撃ちすることは容易だった。
硬い金属に覆われたそれも、集中攻撃を受けてようやく破壊された。

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音を立てて崩れ落ちる金属の塊と、静かに立ちのぼり消えていく蒸気をじっと見つめた。
「終わったのね…」
「一体だけで良かったよ。複数が一度に来たら流石に今の作戦は使えないな…」
ロードがもう一体の方を見ると、そこには既に崩れ落ちて動かないセンチュリオンがあった。ルーシスが近づいて様子を見る。
「私が見たときは確かにしっかりと立っていた。起動に失敗したのか、コアが存在しなかったのか…。どちらにしろ、私達は運が良かったのだろう」
「ええ…。この先、ドワーフ・センチュリオンとどれだけ戦わなければならないのか分からないけど…。城ほど巨大なものはいないと信じたいわ…」
「そんなものに出くわしたら確実に詰むな…。だが考えても仕方ない、先へ進もう」
ルーシスの言葉に頷いた。


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奥の部屋に入ると、なにやら男女の声が聞こえる。
「――スラ、早く逃げましょう。もう人が死ぬのはたくさんよ」
「ああ、そうだな。あとは俺が消えるだけでいい。そんなことを言って俺が背中を向けるのを待ってるんだろ。そうすりゃ、手柄はみんなお前のもんだ!」
「何ですって。何を言っているの?」
スラと呼ばれる男性が相手の女性ににじり寄ると剣をかざした。

相手の女性が倒れた後、男性は私達に気付く。
「…誰だ。お前達も手柄を横取りしに来たのか」
男性は剣を構えたまま迫ってくる。
「あなた、この遺跡の調査に来た人ですよね。私達がここに来た目的はあなたとは違います、まずは話を…」
「知ったことか!」
飛びかかる男性を咄嗟にシャウトでよろめかせる。
「う…っ。なんだ、今のは。クソッ!」
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男が振り上げた剣をルーシスが盾で受け止め跳ね返し、体勢を崩したところへロードが斜めに切り伏せた。

「…この鎧、帝国軍だろう? ロード、お前の同輩を殺してしまったが問題ないか?」
ルーシスが倒れた男を見ながらロードに訊く。
「仕方ないだろう、こっちの言い分も聞かず攻撃してきたのはこいつだ」
「純粋に調査隊を結成したのではなく、私欲が絡んでいたのだろうな。もう、事情を聞く術もないが」
「帝国軍にも色々な人間がいて一枚岩でないことは知っていた。けど、同士討ちのようなことをしてしまうと、少し…思うところがあるな」
ロードは複雑そうな表情で静かに呟くと、横たわる男に背を向けた。


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部屋の中央には何かの装置のようなものがある。
正面の丸いくぼみに気付いた。
「セプティマスに渡された丸いパーツを使ってみましょうか」
くぼみにパーツを合わせると、大きさも丁度良くぴったりとはまった。
「…何も反応がないみたいだけれど、これで良かったのかしら」
少し不安に感じ始めたとき、足元から振動が伝わる。装置の周りの床が下がって階段状になった。
「これは…」
パーツを取り外し、下を覗く。
「階段を下りたところに扉がある。…ブラックリーチの入り口だろう」
先に下りたルーシスが手招きした。
「いよいよね…。行きましょう」


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扉のその先は予想以上に明るかった。
初めて見る巨大なキノコは傘の下を照らしている。
一見するとおとぎ話のような、幻想的な光景だ。

「スカイリムの地下にこんな大空洞があるなんて…」
千里眼の魔法で方向を確認し、辺りを見回しながら歩く。
「地上とは全く違うな…。キノコの周囲は明るいが、離れると真っ暗で何も見えない。ここにもファルメルが住んでいるのだろうか」
ロードが話すとルーシスが相槌を打つ。
「おそらく。…私が先行しよう。どのくらいの数が潜んでいるか判断できないからな。極力戦闘は回避したいところだが」
ルーシスが先行し、敵を確認して必要とあれば即座に倒しながら、仲間を呼ばれないように物音を立てず慎重に進む。

一体のファルメルを倒したとき、空間に異質な音が響いた。
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「何だ? 今の…」
ロードが見回す。
「機械の音のような、唸り声のような…。聞いた事のない音でしたね」
「音の大きさからすると、センチュリオンのでかい奴かもな…」
ロードがそう言うとルーシスが身震いをした。
「広い空洞だしな…。最悪ブラックリーチから脱出することも考えよう。命あっての物種だ」
「ええ…」
星霜の書はもう少しで手に入る。そんな予感がしていた私は、内心ここまで来て逃げたくない気持ちがあった。


遠くから聞こえる謎の鳴動を気にしながら先へ進む。
「月も星もない。こんな暗い場所では時間の感覚が狂うな。地上ではとっくに夜なんじゃないか?」
ロードが話す。
「そうですね。そろそろ休む頃合いかもしれません。どこか落ち着いて休めそうな場所があれば…」
休憩するのに丁度いい建物はないかと周囲を眺める。
「さっきから…音が大きくなってきていないか? どうも、上から聞こえてくるのだが…」
ルーシスが上を見上げる。

「あれは…」
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光るキノコの間を縫うように横切っていく大きな影が見えた。

「…ドラゴン!?」
「まさかこんな、ブラックリーチに?」
ルーシスが半笑いで聞く。
「ええ、だって飛んでいたもの。もしかすると、ドラゴン型のオートマトンなのかもしれない…!」

異質な鳴動は徐々に近づく。
やがてそれは私達の目前に着地すると、はっきりとその姿を見せた。
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「普段目にするドラゴンと同じ大きさだ。こんな機械生物までいるのか…。ルーシス、勝算はあるか?」
「はっきり言って分からん…。センチュリオンに使った戦い方は全く通用しないだろう、こいつは飛べるからな」
二人が身構える。ドラゴンは、まるで私達の人数を確認するようなそぶりを見せ、再び飛び上がると暗闇に紛れた。

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「クソっ、どこを飛んでいるんだ!」
音のする方向を追って、闇雲に魔法を撃つ。
頭上で聞こえていた大きな唸り声も、着地と共に聞こえなくなった。
「どこに降りた!?」
 
前方で光が収束していく様子が見えた。
「駄目だ! 避けろっ!」
ドラゴンが激しい雷撃を撃つ。ロードが前に出て私を庇った。
「ううっ…!!」
ロードの背中に直撃する。
「ロードっ!」
回復魔法をかけ始めた次の瞬間。
「ぐ…っ!」
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ドラゴンは更に近づくとルーシスに向けて炎を放った。
「ルーシス!」
二人に回復魔法をかける。ドラゴンはまた飛び上がり、頭上をグルグルと回っては雷撃を撃ち込んできた。
通常のドラゴンとは明らかに戦い方が違う。こちらの反撃できない距離から雷撃と炎の複合攻撃を仕掛けてきた。
魔法を直撃させてもダメージは微々たる物で、敵は確実に狙い撃ちしてくる上に威力も高い。
攻撃どころか回復が追いつかない。

「メルヴィナ、逃げるんだ。このままでは全滅だ」
ロードがかすれた声で言う。
「待ってください。もう少し回復して、全員で離脱しましょう」
「メル、それでは間に合わないぞ。私達の回復を待っていては、お前までやられてしまう。さっきの…霊体化のシャウトを使えば、お前だけは無事に逃げられる。早く行け」
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「そんなこと出来ない」
「お前は幸い直接攻撃を受けていない。すぐに立てるはずだ」
「一人で逃げるなんて嫌よ」
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「分からないのか! お前は何のためにここへ来た。むざむざと死にに来たのか? 私達は各自で何とかする。早く行け!」

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「何とかって、何ともならなかったらどうするのよ…!」
「それが天命だ」
「…っ!」

ズシンと大きな音を立てて目の前にドラゴンが着地する。
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すぐには攻撃を仕掛けてこない。
こちらの様子を伺っているようにも見えた。
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「……私が…」

私は覚悟を決めた。
決して逃げない。そして、彼らも守り抜くと。

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「私が倒す」
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